マラソンタイムの男女差について(データまとめ)
もはや飽き飽きしたタイトルであり、
何かと議論を巻き起こしがちな話題ではありますが、
せっかく調べたんで書いときますね。
もったいないお化けが出るからね。
既に腐るほど喧々諤々とされているマラソンフィニッシュタイムの性差。
賛否両論あろうかとは思いますが、先日、「1.1倍を採用」と追記したものの、
その妥当性についてすっきりしなかったので、いくつか調べてみた次第です。
(複数のブログやらHPやらを読んで、厳しめでこんなもんかな~と思っていたけど、明確な根拠がなかった)
(改めて調べてみると、出典まで明記してるページが少なかったので致し方なく)
(ほっといたら誰かがやってくれそうな気もしたが……)
ただ、先にお断りしておきますが、
これをもってここで男女補正の是非について議論するつもりはありませんし、
みんな好きなように考えればいいと思う。
所詮、市民ランナーのタイムなんて、自己満足の世界ですし、
正式な競技種目としては男女完全に分かれていて、
比較する必要性も生じません。
(だから、比較や補正に意味ないよ!という方がいらっしゃるのも至極もっともだと思う)
ボクシングのPFP(パウンドフォーパウンド)みたいな、
夢物語(でもその前提で議論するのと楽しい)といったところでしょうか。
私個人としては、男性の皆さんが目指している
1つの大きな目標(サブ3)の目安がわかると、
自分の目標も設定しやすいし、
その大変さも実感として捉えることができるので、
そういう意味で活用はしていますが、
それを元に他人と比較してどうこう言うつもりも毛頭ありません。
個人でほほ~って感心するだけ。
ので、以下は、極力淡々と、結果だけ書きますね。
Will women soon outrun men? (”Nature" Whipp et al. 1992)
・マラソンタイムの男女差に関する(おそらく)最初の文献。
・男女差はどんどんなくなり、マラソンは1998年、
全ての走る競技については2050年には差がなくなると予想。
(ただ、残念ながらそうはならなかった……黎明期の女性のタイムの伸び率にミスリードされた模様)
An everlasting gender gap? ("Sience" 2004)
・VO2 maxや筋肉量の観点から、男性の方が女性より優位
・走競技種目のオリンピックレコードの男女差は、年々増加傾向にある
・100m走からマラソンまでの8種目のうち、
7種目で1989年から2004年にかけて、男女差は10.4%から11.0%に増加。
・マラソンのみ11.9%から8.4%に減少(ラドクリフの記録による)
・マラソンの傾向から、超長距離競技においては、
女性の方が優位となる可能性を示唆
Running performance differences between men and women:an update. ("Sports Med." 2005 Cheuvront et al.)
・1500mから42kmまでのレースにおける男女差は8-14%
(元文献入手できなかったため詳細不明)
Do older athletes reach limits in their performance during marathon running? ("AGE" 2012 Lepers et al.)
・1980-2009年までのNew York Cityマラソンの男女差は平均11%
Do Gender Differences in Running Performance Disappear With Distance? ("Can J Appl Physiol." 2004 Coast et al.)
・100mから200kmまでの競技における男女差は平均12.4%(Abstのみ確認)
・競技距離が延びると、男女差は増加する傾向あり
(女性サンプル数少なく解析不十分か?)
Do women reduce the gap to men in ultra-marathon running? ("Springerplus" 2016 Knechtle et al.)
・マラソンの世界記録の男女差は8.4%(2003)から9.5%(2013)に増加
・ウルトラマラソン(制限時間6~240h)の完走タイムから、
距離の増加に伴う男女差の減少傾向は認められず。
Sex-differences in elite-performance track and field competition from 1983 to 2015. ("J Sports Sci." 2018 Betancurt et al.)
・エリート選手のトラック・フィールド競技のオリンピック記録の男女差はおおむね10-12%
・middle and long-distance eventsの男女差は10.3 ± 3.3% - 12.8 ± 4.0%(Abstのみ確認)
The Runners of the Boston Marathon 2017
・2017年のボストンマラソンのデータ解析結果
・"All"の黄色い線参照。40歳で10%、30歳で12%くらい。
市民ランナーのボリュームゾーン(35-45歳)だと、9-11%くらいか。

なお、VDOTを基準にした換算については、
たのくるさんが明確ににまとめてくださっていましたので割愛。
(勝手にリンクを貼らせていただきましたが、不都合ございましたらお申しつけください)
ここからは私見(なので、読み飛ばしてオッケー)。
最近の事例を含めても、男女差としては、
だいたい10%をみておけばいいようですね。
厳しめにとって9%、おおよそ10%が標準。
最大限ゆるくとって12%といったところでしょうか。
男性3時間を基準にすると、
女性の「参考」タイムは3時間16分~22分。
やっぱり私は届いていないし(持ちタイム3時間24分)、
巷で言われている3時間30分はかなり甘い。
この「30分」という数字は、
「市民ランナーのタイム分布(占有率)」を根拠にしている場合が多く、
母集団数の差やタイムの区切り方、
男性の方が女性よりも競技志向になりがち等の影響で、
どうしても甘く出てしまう傾向があるな、と思います。
なお、完走タイムが5時間あたりになると、
上記の「10%」がちょうど30分差になってくるので、
最も人数が多いであろう男女の平均タイム近辺だと、
30分差と考えて齟齬は生じません。
あくまで、ご参考まで。
(Abstのみや、数値データ前後のみしか確認していないものもあるので、記載がおかしいよ!というご指摘があればぜひよろしくお願いいたします)
(あと、こんだけ調べりゃいいだろ、と途中でぶん投げたので、まだもっとあると思います……)
(ちなみに、芋づる式にswimだのcross-country skiingだのも引っかかってくるんだけど、女性が男性の記録を上回れる可能性がありそうなのは、脂肪量が優位にはたらく遠泳競技っぽい)
結論:仕事でもないのにやってられっか!
(勝手にやりはじめたくせに、思いのほかめんどくさかった模様ww)
疲れたから、よくわからないマイルールの穴(通常営業)に戻るよパトラッシュ……。
いつも応援いただきありがとうございます。
何かと議論を巻き起こしがちな話題ではありますが、
せっかく調べたんで書いときますね。
もったいないお化けが出るからね。
既に腐るほど喧々諤々とされているマラソンフィニッシュタイムの性差。
賛否両論あろうかとは思いますが、先日、「1.1倍を採用」と追記したものの、
その妥当性についてすっきりしなかったので、いくつか調べてみた次第です。
(複数のブログやらHPやらを読んで、厳しめでこんなもんかな~と思っていたけど、明確な根拠がなかった)
(改めて調べてみると、出典まで明記してるページが少なかったので致し方なく)
(ほっといたら誰かがやってくれそうな気もしたが……)
ただ、先にお断りしておきますが、
これをもってここで男女補正の是非について議論するつもりはありませんし、
みんな好きなように考えればいいと思う。
所詮、市民ランナーのタイムなんて、自己満足の世界ですし、
正式な競技種目としては男女完全に分かれていて、
比較する必要性も生じません。
(だから、比較や補正に意味ないよ!という方がいらっしゃるのも至極もっともだと思う)
ボクシングのPFP(パウンドフォーパウンド)みたいな、
夢物語(でもその前提で議論するのと楽しい)といったところでしょうか。
私個人としては、男性の皆さんが目指している
1つの大きな目標(サブ3)の目安がわかると、
自分の目標も設定しやすいし、
その大変さも実感として捉えることができるので、
そういう意味で活用はしていますが、
それを元に他人と比較してどうこう言うつもりも毛頭ありません。
個人でほほ~って感心するだけ。
ので、以下は、極力淡々と、結果だけ書きますね。
Will women soon outrun men? (”Nature" Whipp et al. 1992)
・マラソンタイムの男女差に関する(おそらく)最初の文献。
・男女差はどんどんなくなり、マラソンは1998年、
全ての走る競技については2050年には差がなくなると予想。
(ただ、残念ながらそうはならなかった……黎明期の女性のタイムの伸び率にミスリードされた模様)
An everlasting gender gap? ("Sience" 2004)
・VO2 maxや筋肉量の観点から、男性の方が女性より優位
・走競技種目のオリンピックレコードの男女差は、年々増加傾向にある
・100m走からマラソンまでの8種目のうち、
7種目で1989年から2004年にかけて、男女差は10.4%から11.0%に増加。
・マラソンのみ11.9%から8.4%に減少(ラドクリフの記録による)
・マラソンの傾向から、超長距離競技においては、
女性の方が優位となる可能性を示唆
Running performance differences between men and women:an update. ("Sports Med." 2005 Cheuvront et al.)
・1500mから42kmまでのレースにおける男女差は8-14%
(元文献入手できなかったため詳細不明)
Do older athletes reach limits in their performance during marathon running? ("AGE" 2012 Lepers et al.)
・1980-2009年までのNew York Cityマラソンの男女差は平均11%
Do Gender Differences in Running Performance Disappear With Distance? ("Can J Appl Physiol." 2004 Coast et al.)
・100mから200kmまでの競技における男女差は平均12.4%(Abstのみ確認)
・競技距離が延びると、男女差は増加する傾向あり
(女性サンプル数少なく解析不十分か?)
Do women reduce the gap to men in ultra-marathon running? ("Springerplus" 2016 Knechtle et al.)
・マラソンの世界記録の男女差は8.4%(2003)から9.5%(2013)に増加
・ウルトラマラソン(制限時間6~240h)の完走タイムから、
距離の増加に伴う男女差の減少傾向は認められず。
Sex-differences in elite-performance track and field competition from 1983 to 2015. ("J Sports Sci." 2018 Betancurt et al.)
・エリート選手のトラック・フィールド競技のオリンピック記録の男女差はおおむね10-12%
・middle and long-distance eventsの男女差は10.3 ± 3.3% - 12.8 ± 4.0%(Abstのみ確認)
The Runners of the Boston Marathon 2017
・2017年のボストンマラソンのデータ解析結果
・"All"の黄色い線参照。40歳で10%、30歳で12%くらい。
市民ランナーのボリュームゾーン(35-45歳)だと、9-11%くらいか。

なお、VDOTを基準にした換算については、
たのくるさんが明確ににまとめてくださっていましたので割愛。
(勝手にリンクを貼らせていただきましたが、不都合ございましたらお申しつけください)
ここからは私見(なので、読み飛ばしてオッケー)。
最近の事例を含めても、男女差としては、
だいたい10%をみておけばいいようですね。
厳しめにとって9%、おおよそ10%が標準。
最大限ゆるくとって12%といったところでしょうか。
男性3時間を基準にすると、
女性の「参考」タイムは3時間16分~22分。
やっぱり私は届いていないし(持ちタイム3時間24分)、
巷で言われている3時間30分はかなり甘い。
この「30分」という数字は、
「市民ランナーのタイム分布(占有率)」を根拠にしている場合が多く、
母集団数の差やタイムの区切り方、
男性の方が女性よりも競技志向になりがち等の影響で、
どうしても甘く出てしまう傾向があるな、と思います。
なお、完走タイムが5時間あたりになると、
上記の「10%」がちょうど30分差になってくるので、
最も人数が多いであろう男女の平均タイム近辺だと、
30分差と考えて齟齬は生じません。
あくまで、ご参考まで。
(Abstのみや、数値データ前後のみしか確認していないものもあるので、記載がおかしいよ!というご指摘があればぜひよろしくお願いいたします)
(あと、こんだけ調べりゃいいだろ、と途中でぶん投げたので、まだもっとあると思います……)
(ちなみに、芋づる式にswimだのcross-country skiingだのも引っかかってくるんだけど、女性が男性の記録を上回れる可能性がありそうなのは、脂肪量が優位にはたらく遠泳競技っぽい)
結論:仕事でもないのにやってられっか!
(勝手にやりはじめたくせに、思いのほかめんどくさかった模様ww)
疲れたから、よくわからないマイルールの穴(通常営業)に戻るよパトラッシュ……。
いつも応援いただきありがとうございます。

