生物は化学に、化学は物理に、物理は数学に、数学は哲学になる
選択科目として生物か物理を迷っている、とのことだったので、
思わず脊髄反射でコメント入れそうになりましたが、
読み進めていくと、無事、物理を選択されたそうで
よかった~~~~~!
私自身は、理系路線を疑問なく突き進んできたので
あまり迷いをもたなかったのですが、
その後、予備校で進路相談を受けるような立場になった際、
思いのほか、物理の選択に躊躇する理系志望の生徒さんが
多数いたことを思い出しました。
で、生物でも大丈夫だよ、という回答を
期待しているのかもしれない学生諸君には
大変申し訳ないことながら、結論から言うと、
物理を選択しないのはあり得ない、です。
(実際はもうちっとオブラートに包んでいうよ)
(オブラートを全部とっぱらっていうと、そこで腰がひけてるくらいなら理系志望なんぞやめちまえ、です。わお、人でなしw)
工学部は基本的にどの学科も物理必須。
理学部も物理・化・地学科は物理必須。
薬学部も基本は化学なので物理必須。
農学部も獣医・水産以外はやっといた方がいい。
医学部は知らん。
(医学部(臨床)の適正は、一般的な理系に重要な能力とは別の物差しが入ってくるので。山中教授が臨床でみそっかす扱いだったというのがわかりやすい例です。研究志望なら物理やっといた方がいい)
(数学科はべつに物理はいらんけど、そもそも生物よりも物理の方がはるかに習得が楽、と考える人間しか数学科には行っちゃだめなので、今回の悩みは根本的に発生しない)
強いて言うなら理学部の生物学科とか、
農学部の生物系に特化した学科だと、
物理をしなくても苦労する度合いが比較的少ないかなぁ……。
というか、「生物」「化学」をどうしてもはずせないので、
必然的に物理の優先順位が下がる、という結果論なんですが。
迷ったら物理やっとけと断言する理由は簡単。
生物は「知識」の側面が大きいので、
必要に応じて後からいくらでも補えるし、
むしろ最新の情報は常にインプットし続けなければいけない。
高校程度の知識が通用する場面は、実際問題ほとんどない。
一方で、物理学的な考え方、
特に自然科学全般を支配している「法則」「理論」は
概念の問題なので、付け焼刃での習得は難しい。
そして、自然科学系の学問においては、
物理法則を無視しては、
全ての事象は説明できないのです。
理系にとっての共通言語が「数学(数式)」だとすると、
理系にとっての共通ルールは「物理」なんですよ。
ルール(物理)を知らないと、
フィールド(自然科学分野)でのプレイができない。
戦略を考えるにも、自分のポジションに適したトレーニングをするにも、
その競技のルール内でやることが最低条件なわけです。
試合の反省とか、今後に向けたディスカッションだって、
全部、共通言語(数学)を使って、ルール(物理)の範囲内でやる。
そこから逸脱しておかしなことを言い出す人は、
そもそも競技に参加する資格すらないわけです。
(例えば、サッカーで「相手選手に邪魔されない自陣ゴールにボール入れたらええやん」と言い出す人とか)
(おまえそれサッカーちゃうやん、と一笑に付されるわけですが、ルールを知らないとたまに大真面目(なんだかそうじゃないんだか)にそういうことを言い出す人もいたりしてビビる)
(同じ言葉・ルールで喋れない人間を相手にするのは時間の無駄なので、基本的に理系はトンデモ理論はさくっと無視する、という手段をとるのですが、そうやって放置してしまった結果、しつこく生き残り続けるトンデモというものも存在して、長年耳にするし糾弾されてないから正しいのだろう、という世間一般のミスリードを生んでしまっていることが往々にしてある)
で、生物は、相手選手の情報とかかなぁ。
知ってた方がいいに決まってるし、
たくさん知ってる人が断然有利だけど、
やる気があれば後からでも情報収集はできる。
もちろん、物理においても、
高校程度の知識がそのまま通用する場面というのは
そうそう多くはない。
でも、そのルールの習得に一定の時間をかけて苦労したか、
自分の頭で理解し、考える訓練をしてきたか、
ルールがあることをちゃんとわかっていて、
ルールの中で戦略を練ったり議論できるか、
ってことが、とてもとても大事。
余計なお世話かもしれませんが、
せっかく何らかの志があって理系を選ぶのなら、
同じ言語で語り、同じルールで戦える有力な同志が
一人でも多く増えるといいな、と
おばちゃんは思うのです。
(あ、ちなみにタイトルは、高校の理系科目と大学での授業内容のギャップを言い表したジョークですが、高校生諸君には己の今の得意分野は大学で想定している学問とは一致しないかもしれない、という点も念頭において慎重かつ大胆に志望を決めていただきたく!)
(学校の先生とか塾講師じゃなくて、本当は理系の職種を専門としている人をとっつかまえて、「なんでその専攻を選んだのか」「なんでその仕事を選んだのか」「それやってて何が楽しいのか」を聞いてピンときたやつが、将来像をイメージするのにいいと思うんだけど、環境によってはなかなか適切な人がいないかもなぁ……(私が文学部に巡り合わないのと同様w))
(勢いのままに書いてて思ったけど、これはあくまでいろいろぐちぐち文句たれながらも本質的には今のお仕事ひゃっほーいと思ってる人間からの話で、少しでも偏差値の高い学校に入りたい、とか、手堅く受験を乗り切りたい、とか、そういうメリットは一切考えてないので、進学に関するアドバイスを専門とする教師の方々からすると、また全然異なる最適解が出てくると思いますし、どっちが正解というわけでもない(ぶん投げ))
いつも応援いただきありがとうございます。

